Zwifterの雑感

Zwifterが海外情報中心に集めたZwift知識と適当な考察を残します。メジャーな情報は他所にまかせてニッチにマニアックに

Zwiftバーチャル機材史

※2022/4/15更新

 

Zwift機材の変遷について記録を残しておきたくなった。以前のデータそれ自体に意味はないが過去を振り返ることで得られるものがあるはずである。歴史とはそういう物だ。

 

簡単に性能評価の方法を説明したのち、データの残ってる主要なアップデートを時系列で追っていきたいと思う。

 

性能評価方法

 

Zwift機材には重量とエアロの二つのパラメーターがある。
フレームとホイールそれぞれにこの数値が設定されており、他に速度に与える数値はない。

この数値は内部的に設定されており通常は参照できず、ゲーム画面上で見れる☆のステータスも単なる目安にすぎない。
そこでZwift Insiderという外部サイトが下記のような方法でスピードテストを行っている。

 

やる事は単純で300w/75kg 183cmの条件で単独TTをするだけ
登り性能はAlpe(12km 1,000m)
平坦性能はTempus Fugitを二周(35km 30m)
このTTタイムがいずれもおよそ50分となり、それぞれ重量とエアロの性能を表す。

 

例えば以下の表はトロンがAlpeのタイムが2,939秒、Tempusのタイムが3,028秒である事を表す。合計は総合性能を表す参考値として二つの単純合算を出している。タイムなのでもちろん小さい方が速くて優秀

 

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次に全機材のリストを作り、この二つのパラメーターを並べる。
ここである機材が別の機材に両方のパラメーターで負けていたとすると、この機材を使うメリットは一切ないのでリストから消去する。
これを続けていって残った機材のリストは上位互換の存在しない機材のリストとなる。つまりこのリストの中で重量を良くしようとしたら必ずエアロが悪くなる。逆もしかり
この最強装備となりうる機材のリストを環境機材リストとする。


この変遷を追っていきましょう。

 

機材史

 

2020/9/30以前

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これより前はデータ残してないが、登り、平坦、総合の3強はごく初期からずっと変わらなかったのではないかと思う。

 

ただ、私が機材性能気にしだしたのはこの辺からだからそれより前はちゃんと知らない。かなり昔はZipp 858/Super9が初期登録者限定の装備だったみたいな話も聞いたことあるけど知らない。

 

このころはトロンが頭抜けて強く、オールラウンドバイクの癖にエアロ性能もほぼ最強。明確なヒルクライムであれば流石にTarmac Pro/Lightweightを選ぶべきだが、エアロ最強のVenge/Zipp 858super9とトロンとでは平坦性能の差がほとんどなく、何なら軽量なら加速性能がいいだろうからド平坦でもトロン最強では?という説もあったくらい。


とにかく環境が長い間固定されてた時代で、良くも悪くも機材の事あんまり考える必要なかったと記憶している。

 

※ビッグプーリー事件

全機材のデータが無いが、2020年5月にCeramicSpeedのイベントでミッションに参加するとビッグプーリーが使える時期が1か月ほどだけあった。

このビッグプーリー、つけるとトロンを除く全機材で平坦で約11秒、登りで約23秒速くなるとんでもねー性能だった。この時の登り最速2,896秒、平坦最速3,014秒は現在(2022/3)にいたるまで破られていない史上最速の機材。

このときのKOMに勝つのなかなか大変なのでは(笑)

 

2020/10/1

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Canyon Aeroad 2021の鮮烈なデビュー!
まー登場の仕方が劇的だった。公式からのアップデート情報には一切記載がなかったがDrop Shopに密かに追加されており、オールラウンドフレームながら登りにかなり強くトロンとほぼ並ぶ性能


更にSpecialized Tarmac Proがいつの間にか登りで3秒ほど遅く修正されていることが判明し、ヒルクラ最強装備が入れ替わる事態にZwift機材マニアがおおいに沸いた&サイレント修正にブチ切れた。

 

ぶっちゃけインフレと環境がコロコロ変わる暗黒時代の始まりとも言える。

 

2020/10/24

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登場からわずか3週間ほどして、Aeroad 2021がまさかの性能の大幅下方修正。使い道のほぼない機材となりZwift機材マニア*1からそんなんありかよと大ブーイング。Dropを使っちゃった人から返Dropさせろとクレームがあったり無かったり…


まあ低レベル向け装備としては十分に強いんだけど、パッとしない性能に落ち着いた。
結局最強装備は以前のものに戻る。


Tarmac Pro&Aeroad 2021の弱体化事件は、Zwift機材の性能は一度設定されたら変更されないという神話を崩す悪しき前例になったと記憶している…

 

2021/7/27

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結構長い空白期間を経て、AethosとDogmaFが続いて登場
ヒルクラ最強がAethosに変わり、久しぶりに環境に大きな変化があったので(再修正におびえつつ)バーチャル機材界隈が盛り上がった。


Dogma Fもかなり強く、総合性能でトロンを脅かすように。今見てもコースによってはDogma F/ ENVE7.8がトロンより速いのは有り得そう。

再軽量ホイールRoval Alpinist CLXはライトウェイトと全く同じ性能ながら、Dropで買えたため、ルーレットがあたらない人々の希望の星となった。多分。


オールラウンドバイクでトロン一強が崩され始めたという意味で特筆すべき時代

2021/8/23

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エアロ最速ホイールにDT Swiss Discが登場
前述の通り、これまではトロンとエアロ最強装備の差がほとんどなくて基本トロンでええやんと言われていたが、新ディスクホイールの登場によりエアロでは明確にトロンに勝てる装備が誕生。

 

ようやく平坦重視のセッティングが差別化されたといっていいと思う。

 

2021/8/27

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Scott Addict RCの登場
Dogma Fより結構軽く、わずかに平坦で遅いかなり強いオールラウンドフレーム。

AddictとDT Swiss Discが追加されたことで、色々な装備の組み合わせで総合性能が概ね横並びになった。


つまり、トロンと同レベルの総合性能でエアロを少し犠牲にした分軽くしてヒルクライム重視の装備にしたり、その逆にしたりとかなり自由度が高かった。これによりトロン一強時代は終焉を迎えたと言っていいと思う。

 

個人的にはコースに合わせて機材で戦略を練れるこの時代が一番好きかな

 

2021/9/27

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性能のサイレント微調整


Aethosがいつの間にか1秒登りで遅くなった。
このころからすでに後述のコンポバグが起こってたような記憶もあるがハッキリしない

 

2021/12/25

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コンポバグが判明
Dura Ace9200とSRAM RED eTap AXSを使用しているフレームの重量とエアロが突如Alpeのタイムで25秒ほど遅くなり、大幅に弱体化する。
コンポに重量とCdAの設定値が内部的にあるようなのだが、上記二つのコンポで設定の誤りがあった?せいと言われている。


このバグで環境装備で影響を受けたのが
■Cervelo S5 2020■Canyon Aeroad 2021■Pinarello Dogma Fの三つ


特にS5は平坦最強装備だったので影響が大きく、再びVenge S-Worksが日の目を見るようになった。
Canyon Aeroad 2021も低レベル向けの最強装備だったのでこちらも大きな話。実はバグ解消まではFocus Izalco Max 2020が低レベルでの最速フレームだった。

Dogma Fはマニアが静かに悲しんだ

 

2022/3/2

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コンポバグが解消…
しただけにとどまらず、数多くの性能調整がされた。


まず目を引くのがChapter2 TOAがオールラウンドフレームとして環境を蹂躙。総合性能でトロンを超え、一気に最強装備となった。大変失礼ながら、リアルの性能がそこまで高いイメージ無いだけに衝撃的。

 

S5はバグ直って帰ってくるかと思ったらさらに調整されてVengeが最強のままで据え置き。


環境としてはChapter2にホイールを色々組み合わせて多彩な性能を実現できる割といい時代だと思う。
ただ、Chapter2が最強?っていう違和感は本当に申し訳ないが強く、バグによって一瞬速くなっているだけですぐ修正されるのではとの疑念が強く残る…

 

Aeroad2021の悲劇を忘れてはならないのである

 

2022/04/14

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ハイ、Chapter2 TOAが下方修正されました。せーのっ!


だと思ったー!

 

ちょっと特筆すべきは、運営がChapter2の性能についてはバグであったと認めてることですね。リリースノートのバグ修正欄で性能の変更を明記しています。*2


まあサイレント修正ではない事を評価したいです。Forumで毎度のごとく海外ニキにも文句言われてたのでバグの再発防止に努めてもろて…

 

環境としては二つ前の2021/12ごろにほぼ戻ったような形です。
登り・平坦の最強は据え置きで、総合最強がトロンに戻る。
総合性能は少し劣るものの、登坂寄りのオールラウンダーとしてScott Addict/Enve7.8を代表に色々な選択肢が残るって感じですかね。

 

後、全機材のTempusのタイムが7秒前後遅くなってるけど原因不明。Zwiftinsiderの計測の問題かコンポバグ修正の影響か…

 

まとめ

 

そもそも論だけど、個人的にはバーチャル機材の性能が変わる事をあまり良いと思っていないです。なぜなら以前のタイムと単純な比較ができなくなるから。


例えばAlpeの1年前のタイムと今のタイムを比較した場合、最速機材で8秒くらい差が出てます。「AlpeTTしたら1年前できなかった~分切りができた!」といった場合、純粋な努力に機材の影響が8秒混ざっています。ちょっと気持ち悪い。

機材変えなければええやん!と言われそうですが、Tarmac ProもAeroadもAethosも前述の通り全部ちょっとだけ性能変わってます…

 

新機材が出るのはイベントとして楽しいのでいいんですが、ここ何とかならないかなーと

 

もう一つの不満はゲーム内でこの性能差を確認できない事


ゲーム内で超適当な☆での表記はほぼあてにならないので、結局アプデのたびにZwift Insiderで最新情報を追っかける必要があります。更に通知なく性能を変えられるともうわけわかんなくなります。

 

まあ文句言ってもしょうがないので頑張って情報追っかけるだけなんですがー

*1:主に私

*2:重量を修正したと書いてるけどエアロも修正されてるっぽいのはちょっと不信感あるが