自動カテゴリ判定システム登場!
Zwiftにおけるカテゴリ問題はさんざん語られてきました。
現状大きく以下の三点から特定のプレイヤーが強くなり、ハイペースでレースを支配。普通のプレイヤーはそれに千切れないようついていくだけでレースが終わってしまう…といった事が特に下のカテゴリでよくあります。
・体重差を考慮していない(重量級有利)
・脚質を考慮していない(スプリンター有利)
・カテ詐欺を排除できていない(ズルい人有利)
この状況を解決すべくWTRLという団体が自動カテゴリ振分けのシステムを作成。テスト運用を始めています。
自動カテゴリの大まかな仕組みと、今後の発展について、「推測を交えつつ」紹介したいと思います。
機能
早速ですが機能の概要を紹介します。
レースの参加手順
- Zwift Powerのアカウント作成
- WTRLのアカウント作成(& Zwift PowerのIDを紐づけ)
- WTRLのサイトで「Join」ボタンを押して自動振分け
- 自分のカテゴリのみのエントリー画面が表示される
振り分けられるカテゴリーは男子6クラス、女子5クラスとなります。
ざっと男子のカテゴリを見た印象ですが
- カテ1…A最上位~A上位
- カテ2…A中位~B上位
- カテ3…B上位~B下位
- カテ4…B下位~C上位
- カテ5…C上位~D上位
- カテ6…D中位以下
といったレベル感
ここで重要な点ですが、「参加者はカテゴリを選べません」。
Zwift Powerのデータを分析した結果で全て自動判定され、システム上自分のカテゴリ以外のエントリーページにはたどり着けないようになっています。
これによりカテゴリー詐欺が一切できなくなります。最高だぜ!*1
後、範囲が広くなり過ぎていたAクラスから実質A+が分けられたのもとても良いですね。
A最下位の4.1倍程度と最上位の5倍オーバーとで相当の差があった問題が解消しています!
振分けロジック
データをどう使って、カテゴリを判断しているかの詳細は公開されていません。
説明されている概要に少し推測を加えつつ説明します。
類似レースのコースタイム(or平均速度)
- 各コースに難易度を1~5まで振る。
- エントリーするレースと同じ難易度のコースの直近30日間のタイムが似ている人と同じカテゴリに振り分ける。
難易度の定義は(多分)不明です。獲得標高、勾配、距離や、ダートの有無など?どこまでの要素を見ているのかなー
想像ではツールドフランスとかで言うコース難易度と同じように登りのボリュームをメインに見て、コースの特性に合わせた能力を診断しているのでは
例)今日のレースは山岳ばっかの難易度1。であれば過去の同様のヒルクライムレースの完走タイムを参照しよう!
完走タイムを基準というパワーから離れた数値を見ていることについて、Zwiftでは体重やパワーだけでなく、集団走行のテクニック、身長や機材など様々な面が複雑に考慮されますが、リザルトに直結するスピードを元にカテゴリを分けることで、実際の実力に近い評価をする狙いではないでしょうか。
・1分、5分、20分のMMP
FTPだけでなく、1分と5分のベストパワーも基準に振り分けているようです。
短時間の無酸素系の能力も評価してるのはとても良いと思います!
例えばスタートダッシュとか、短めの登りで千切れない能力とかで言うまでもなく非常に重要な指標です。
ここが近い実力の人とレースすれば、いい感じの千切り合いとなるはずです。
この二点からやろうとしていることは、
実力違いの選手が先頭を引き続けたりしてレースを支配してしまう事をなくしたいのだと思います。ロードレースの楽しみはやはり駆け引き。格上に支配されたレースでひたすら千切れないよう耐え続けるより、リスクを負いつつもアタックしたり逃げたりするチャンスがあるレースの方が絶対楽しい。
懸念点
従来の20分パワーしか見ていないルールと比べると格段にいい!という事を前提に少しだけ懸念事項です。
・体重見てる?
振分け結果を見て何となくそう思ったレベルですが、体重差の考慮がされてないor不足しているように感じました。
従来のBカテで400w/100kgで4倍マンにどうやって260w/65kgの4倍でどうやって勝てばええねんという体重差問題が完全に解消されたわけではなさそうです。
完走タイムである程度考慮されているはずなので気のせいかもしれませんが。
・スプリント見てる?
これも感覚的にですが20分のパワー(≒FTP)を結構重視しているように見えました。
更に1分未満のMMPは見ていないようなので、スプリンターが有利なのかも?という懸念です
結局最後はスプリントある人しか勝てないのでは?という気が少しします。
・MMPは適正?
基本的にMMPってレース中に出るものではないと思います。
なので、例えば5分頑張るシチュエーションを経験したことが無い人の実力が過小に見積もられる可能性があります。
20分MMPもまあ同様ですが、1分や5分は特にシチュエーション限られる印象です。
とは言えMMPテストはクソキツいので、テストしてから来い!とは中々言えないですが…
・モチベーションになる?
これはほんとにイチャモンレベル
振分けのルールが全く不透明なため、上のカテゴリ目指すぞー!となった時に何していいかあんまわかんないです。
ある日突然、カテゴリ変わった!?みたいになると思うのでそこはちょっとやる気になりにくいのかな?と
将来像
ここまで上げてきた仕様は、テスト環境におけるものです。WTRLは当然もっと先を見据えているようです。
将来的に実装したいこととして以下のようなことも書かれていました。
クラスの昇降格
このシステムを利用したレースのリザルトによって、勝った人が上のクラスに行く、またはその逆が起こるという事
これは是非早めに実装してほしいところ
正直データをどういじくっても、インターバル耐性や体形や脚質やらで有利不利は絶対出ると思ってます。
なので勝った人はさっさと上に行ってもらうというのは、クラスを健全に維持するために必要なのではないかとおもいます。モチベーションにもなるでしょうしとてもよさげ
レーティングシステム
True Skillなるレーティングアルゴリズムの搭載にも言及しています。
オンラインゲームとかではよく見るシステムではあるようですが、プレイヤーの腕前を数値化する仕組みです。
簡単なイメージでは、各自がレートと呼ばれる数値を持っていおり、勝てばレートが上がり、負ければ下がる。さらには周りのレートが高い状況(=勝ちにくい状況)でよい成績を残せば大きくレートが変動します。逆もしかり。
将棋とかチェスとかでは10年以上前から使われているシステムらしいです。知らんけど。最近のゲームの例で言えば、スプラトゥーンにおけるウデマエやスマブラにおける世界戦闘力みたいなもんでしょうかね。ちょっと細かいところは違いそうですけど。
これがしっかりと機能すれば、不公平はかなり無くなるんじゃないでしょうか。振分けの仕様がどうこうとか関係なく、勝ってるか負けてるかで評価されるので文句無いでしょう!
システムの統一
ちょっと別の話ですが、現状このルールはZwiftのシステム内で完結していないのでちょっと煩雑です。
レースにエントリーするには、Zwiftのアカウントの他に、Zwift PowerとWTRL両方のアカウント取得が必須でやや面倒…。理想的にはZwiftのゲーム画面で全て完結してほしいです。
さらに言えば、専用のダッシュボードとかがゲーム画面で見れるといいですね。
レースの履歴が見れたり、レーティングの推移が見れたり…この辺夢が広がりまくりです。プログラム的な制約きつそうですけど。
まとめ
細かくネチネチ語ってきましたが、総論としては画期的な良いものができていると思います!
レースのフィードバック見てても好意的な声が多い気がします。特に比較的脚力の無い人がレース楽しめたと言っているのがうれしいですね。
従来、特にC~Dカテゴリのレースはカテ詐欺に支配されており、スタートダッシュ数十秒で即レース終了したり、千切れるまでL5維持を強要される過酷な場となっていました。
それにより、レースに初心者お断り感があり、結構レース苦手な人が多かった印象です。
脚力の無い人でも無い人なりにアタックをしたり、スプリントをしたりという仕組みができることは、健全な成功体験を積める場が段階的にできるという事。
Zwiftレースを楽しめる層が広がり、さらなる発展の一助となるのではと大いに期待しております。
*1:厳密には他カテのエントリー画面のURLを知れば可能。そこまでする人がいるかは知らん