Zwifterの雑感

Zwifterが海外情報中心に集めたZwift知識と適当な考察を残します。メジャーな情報は他所にまかせてニッチにマニアックに

ハンデレースの可能性

 

 
 ハンデレースしたことありますか?

 体重を調整したハンデレースという遊びがZwiftの一部で行われています。はっきり言ってクソ楽しいです。すでに一部で人気ですが、もっともっと流行っていいと思います。

 

 バーチャルのZwiftならではの強みですが、体重の設定を変更することで強い人は体重を重く、そうでない人は体重軽くしてハンデを調整し、誰もが勝つ可能性があるレースが実現できます。全員死に物狂いで勝ちに来るレース…面白くないわけがないですね。直近ではとぅーらさん主催のハンデレース「メゾンメゾン」が大変盛り上がりました。

 
 じゃあ公平になるよう体重調整しようかとなりますが、なにが公平かというのは意外と難しいです。例えばFTPのPWRだけ合うよう調整すると、体重が重くて絶対パワーがある方が有利。かつ、FTP以外のスプリントやインターバル耐性がある脚質が有利になってしまいます。

 

課題となるポイントを挙げておくと
・PWRは適正か
・絶対パワーについても補正できているか
・脚質は考慮しているか
・ルールや計算がやりやすく、参加者に周知できるか
あたりでしょうか。

 

 PWRだけでなく絶対パワーに目を向けるべき理由は以下の記事に書きました。

 

 

  概して言うと、シンプルな調整方法だと「結局強い人が強い」的な現象が頻発するので、いかに「誰でも勝てる」を実現させつつ、ルールの周知・徹底がやりやすい方法にするかがポイントかと思います。

 

 

 そこを補正する調整方法を先人たちが考案してくれていますので、本稿ではそれぞれの手法について若干マニアックに細かい計算方法から長短所の考察をしたいと思います。今後の調整方法を考える一助となればうれしいです。

 

注1)公式レース等オープンな場での体重調整は厳禁です。身内のミートアップ等、全員がハンデレースと了解している場のみで!


注2)調整後の全員のPWRが強くなりすぎないようにしましょう!FTP5倍とかにしてセグメントタイムを荒らすことのないように…

 

 

 

PWR法


ごく単純にPWRを一定に合わせる方法

FTP÷基準PWR=体重」

例)4wkgに合わせる場合
300w/50kg/6wkg → 300w/75kg/4wkg
200w/100kg /2wkg→ 200w/50kg/4wkg

メリット

  • とにかくわかりやすい。すぐに調整が可能

デメリット

  • 絶対パワーの補正ができていない。
  • 脚質を考慮できていない。重量級スプリンターとかが大幅有利

とぅーら式

 Vtuberのとぅーらさん考案。イベント「メゾンメゾン」で使用。

 FTPに加え、体重を元に約4倍に調整。調整前の体重がある人はスプリントがある可能性が高いので、補正としてPWRを少し低く調整する狙い
 FTPはRamp Testでの計測を推奨

FTP÷(665-体重)×150」

例)

300w/50kg → 300w/73kg/4.1wkg
200w/100kg → 200w/53kg/3.8wkg

メリット

  • 比較的計算がわかりやすい
  • 簡易的に脚質を考慮。Ramp Testを基準とすることで、L5以上の耐性が同等になると思われるので序盤のセレクションで千切れる事は減るか

デメリット

  • 調整前体重をベースとすることで、例のように絶対パワーの補正が逆に働くケースがある。

 

絶対パワー補正型PWR法


 私考案。実際にやったこと無いので机上のエアプ
 PWR法で調整後、絶対パワー20wごとに1kgの追加調整をかける。


「(FTP÷4)+(FTP-260)÷20」整理して
FTP×0.3-13」

例)

300w/50kg/6wkg → 300w/77kg/3.9wkg
200w/100kg /2wkg→ 200w/47kg/4.25wkg


メリット

  • まあまあの分かりやすさ。
  • 絶対パワーの補正をかけてる。FTPだけ見たらまあまあ妥当ではなかろうか

デメリット

  • 脚質を考慮していないので多分スプリンターが勝つ※
  • 20w=1kgの根拠は無い

 

※スプリントを考慮して

FTP×0.3-15+(5秒MAXパワー)÷300」

とかさらに補正するアイデアはある。


あー子式


Zwift Team Battle用に開発・改良された調整方法
以下ブログ参照

emuspeedclub.hatenablog.com

 結構複雑なので、細かい計算方法は割愛。詳しくはスプレッドシート見るのが早い。重要なポイントを上げると

 

 

 全員のMMP(20min 5min 1min 5sec)のPWRをベースに、総合力が全員同等になるよう調整する。

 調整係数というパラメーターをコースレイアウト事に設定。山岳コースであれば20minを重視。5分のKOMがあれば5minのMMPを重視など、展開に合わせて調整できる

 ハンデ係数を設定可能。ハンデで体重増やす人は強いので、絶対パワーやインターバル耐性もあると仮定してハンデ係数に応じて追加で少し重くする。逆も同様。

 

メリット

  • MMPを広く見ることで脚質を考慮。例えばスプリンターはFTP低めになる
  • 絶対パワーやインターバル耐性の補正をハンデ係数で考慮している

デメリット

  • 計算が複雑。スプレッドシートほぼ必須。逆に言えばシートがあれば一瞬。リンク先に配布あるよ。
  • 調整係数、ハンデ係数の設定が少しだけ難しい。設定に経験が必要。
  • MMPの測定が必要


ZPランク式


 Zwift Powerのランクを元にしたかなり大胆な計算方法。(今思いついた。)パワーの概念を離れた結果主義も面白いかな?と思い紹介。

「(1600-ZPのRank)÷1000×体重=調整後体重」

メリット

  • 結果出してる奴は体重増やしたれ!という発想なので、ある意味パワーから、Zwiftスキルから、レース勘やら他の方法で考慮できていない数値化不可能な部分も含めた総合力が基準
  • 計算もまあ簡単

デメリット

  • とにかく雑。係数設定も適当
  • ZPのランクは目標にしている人がそんなに多くない?


リーグ式


 これもアイデアベース

 定期的に決まったメンバーでレースを繰り返し、レースごとに勝者は次回+1kg、ビリは-1kgとか調整していく、その内全員の脚力が均等になるはず

 

メリット

  • 結果ベースなので、これも総合力を考慮しているといえるか
  • 他の調整方法と併用可。初期値だけ他の計算式で…とかできる
  • なんか楽しそう。増えた体重は勲章

デメリット

  • 調整が終わるまで時間がかかるかも。
  • わざと負けるまでいかずとも、手を抜くと得になるのが良くない?損得抜きに熱くなれる仲間内でやるといいか
  • 集計がやや手間

 

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 ざっくりの各手法のイメージを表にまとめてみました。

 個人的には、あー子式でいいんじゃないの感が強いです。元々チーム戦向けの調整ですが、十分個人戦でも使えます。私もよくお世話になってますが、ホントよくできてるんすよ…

 ただ、スプレッドシートの入力・係数の設定がちょっとだけ手間なので、その場合はとぅーらさんみたいにPWR法ベースに調整入れたりとかになるのかな…

ZMP調整 ※2021/02/09追記

 kotaro@kmx氏作成の神ツールを使っての調整

 

 詳しくはこの記事に書きましたが、ZMPを統一してのハンデレースもできます。基本的な考え方はあーこ式の発展形です。各MMPのPWRに加え、絶対パワーを見ています。

 WEBでの調整計算が可能なことが最大のメリットで、誰でも気軽に調整が可能。

 デメリットはインターバル耐性が考慮できていないので少しもともと強い人が強くなりがち…まあ他の調整式もそうだけど

 


まとめ


 ハンデレースはマジで可能性秘めまくってると思ってます。
 ガチ勢も、ゆるポタ勢も、同条件でロードレースごっこできるとかどう考えても楽しいですし、やってるとしょっちゅうFTPやらMMPやら更新します。トレーニングとしてもアリではないでしょうか。

 

 また、どうしてもガチ勢向けになりがちなZwiftレースを誰でも楽しめてプレイ人口のすそ野が広がると面白いと思っています。例えば女性Zwifterとかは同レベルで人数の多いレース探すのって結構大変だと思いますが、こういった手法で性別もレベルも関係なくガチ勝負できるといいかもしれません。*1

 

 まだまだ、調整の細かい方法については議論が始まったばかりという印象ですが、新しい手法がどんどん開発されて、Zwift全体が活発になっていくといいなと思っています。面白い調整方法とか思いついたら是非教えてください。

 

 

 結論、ちょっと私の好みで細かく話しすぎたけど、とにかく楽しいので適当に調整してみんなでレースしようぜ!

*1:後、カテ詐欺、ハッピーメーターなどの問題も部分的にクリアできるのもいいかも。公式レースに出にくいハッピーさんも体重積んでレースしようぜ!