Zwifterの雑感

Zwifterが海外情報中心に集めたZwift知識と適当な考察を残します。メジャーな情報は他所にまかせてニッチにマニアックに

ハッピーメーターを憎んで人を憎まず

 初めてパワーメーターを使ってZwiftに参戦してみたら、パワーメーターが異常値を出しており、知らぬ間にチートをしていた…という悲しすぎる事例があります。
 初心者が楽しいから頑張って踏んでただけで、トッププロ級のパワーを出していて、ガチ勢をぶっちぎってしまう…というのは起こりえる事なのです。
 この場合、悪い人はいないです。でも皆不幸になります。
 ハッピーメーターを憎んで人を憎まずです。

 

 Zwiftではこのように「悪気無く」・「無自覚で」・「チート級の」パワーを出してしまうケースがあります。
 今回の主旨はそういった無自覚なチートが起こらないよう、ある程度のパワーの目安を紹介することです。
 意図的な体重・身長・性別の詐称、その他の極悪チートについてはここでは述べません。論外です。カス野郎め。


 また、Zwiftと実走は別物です。数%の計測誤差は自覚も証拠もなく、追及しようが無いです。誰だって微妙に上振れていない保証は全くないですし、その程度ならそういう物として楽しみましょう。

 ただ、実際のパワーの1.2倍とか1.5倍とか出てるとちょっと待てとなります。*1


「パワー」の精度


 体重計が出した数字を疑う人はあまり多くないでしょう。普通は目を疑います。しかし、そのノリをパワーメーターに持ち込むと危険です。

 

 残念ながら、現状すべてのメーターが正確であるとは言えない状況です。実際に出しているパワーより大きな数値を出すパワーメーター・スマートトレーナーは存在し、俗にハッピーメーターと呼ばれます。


 ここではどのメーカーがどうとかいう話はしません。私が詳しくないのと、キャリブレーションの状況とかで色々変わるのでこれがOKでこれがNGとか一概に言えないからです。

 

「パワー」の目安


 特に実走の経験が少なかったり、人とパワーについて話す機会が少ないと、自分のパワーが適正かどうかわからないケースがあると思います。

 以下、主にあまり詳しくない人向けに、一般的なパワーの基準をいくつか上げます。上級者はデュアルレコードとかなんとか勝手にやっといてください。 

 

 しかし、これはごく大まかな目安程度の基準です。乖離は当然あります。この基準をもって、誰がハッピーだのと議論する事が目的ではありません。不毛です。

 ただ、自分のパワーが基準から「明らかに」・「大幅に」ズレていないか見直してほしいです。私の勝手ですが、5倍巡航とかするなら5倍巡航のレベル感を知った上でやってほしいのです。


ワープロフィール


 パワートレーニングの権威「ハンター・アレン/アンドリュー・コーガン」が作成した表を簡略化しました。
 時間ごとに出せる最大パワーを体重で割ったPWRについてランク分けをしています。
 さらに、「つよポタミア」様による、かの有名な剛脚ピラミッドを根拠に各ランクがアマチュアの上位何%にあたるかを示しました。

tofud.hatenadiary.jp

 富士ヒルの結果から60分PWRを推計し、アマチュアの脚力分布を作成したものです。

 60分PWRのピラミッドの分布が他の時間でも同様であるとする強引なやり方ですが、傾向はつかめそうです。*2

 

 

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 例えば20分間、全力疾走をしたら300w/60kgで5.0倍という結果が出たとします。
これは表によると、「上級」カテゴリにあたり、アマチュアの上位3.6%以内に分布していることになります。
 アマトップ層レベルの努力をしていないのであれば、パワーメーターを疑うべきです。

 

 私の感覚ですが、継続したトレーニングや他スポーツでの実績がない状態で、「よい」以上の結果が出たとすれば、よっぽどの才能又はハッピーメーターだと思います。無論、例外的にめちゃ速い、才能ある人がいるのも事実で何とも難しいのですが。

 

  いずれも少し古いデータなので、パワトレ・Zwift等の普及によりもう少しレベル感が高まっている可能性は高いとは思います。 

 なんか自分のパワーメーターおかしいかも?と思ったら各時間の全力パワーを計測して表にあててみることをお勧めします。

 

巡行スピード


 実走はスピードに影響する要素が山ほどあります。※風向き、機材、エアロ、テクニックetc
 ので、何ワット、何キロと言う事に大して意味はありません。しかし、一番わかりやすい数値なのであえて紹介します。

http://www.electricsheep.co.jp/hc/cruise.html

 こちらも有名なツールですが「酒井 智巳のサイト」様作成の巡行速度計算ツールを利用して、各体重・速度ごとの巡行に必要なワットを並べました。※条件は平坦、単独、無風、気温20°その他のパラメータも全てデフォルト値

速度 50kg 55kg 60kg 65kg 70kg 75kg 80kg
25km/h 77w 79w 80w 82w 84w 85w 87w
30km/h 122w 124w 126w 128w 130w 132w 134w
35km/h 184w 186w 188w 191w 193w 195w 198w
37.5km/h 221w 224w 226w 229w 231w 234w 237w
40km/h 264w 267w 269w 272w 275w 278w 280w
45km/h 366w 369w 372w 375w 378w 381w 385w


 平坦・無風の状況で~km/h巡行しているときのパワーを表にあててみましょう。この目安から少しずれてる程度でどうこう言うべきではないです。感覚での「平坦・無風」ほどあてにならない物も無いですし…

 ただ、大きくずれていたらパワーメーターを疑った方がいいかもしれません。

 

峠TT

 

 実際の峠でTTをしてみるのも有りです。有名なコースだと何倍で何分とかある程度基準あったりします。
 後Stravaとか使ってると、出したタイムがどの程度のレベルかわかりますので、Zwift内の実力と大幅に離れていないかチェックできると思います。
 しつこいですが、信号・機材・テクニック等色々関係するので大体です。大体。


ハッピーメーターだったとしたら…?

 

 ハッピーじゃないメーターを買えというのはまあそうなんですが、高価なパワーメーターをいくつも買うのもハードルが高い。
 ハッピーであってもパワートレーニングとしては十分使えます。常に同じ幅で上振れるのであれば、自分の成長を記録する分には困りません。
 FTPを計測して、パワトレをモリモリやりましょう。または、ロングライドで難コースに挑戦しましょう。

 

 ただ、レースは極力控えた方がいいんじゃないか…と言うのが私の意見です。成長を積み重ねてようやく出るようになった数値を不自然なパワーの人に抜かれるのはどうしてもモヤっとします。

 特にFTP5倍を超えてきた辺りからZwiftの実力トップ層に入り、バーチャルの世界ではありますが周りが名誉をかけて争っています。デュアルレコードを行うなどある程度自身のパワーソースの信頼性を確認・証明する必要があると思います。


 また、賞品が出る大会等への参加は厳禁です。これについては絶対にハッピーメーターと分かっていながら出場するべきではないです。

 


 何度でも申し上げますが、「ハッピーメーターを憎んで人を憎まず」です。たまたま買ったパワーメーターがハッピーだったというだけで誰も悪くありません。
 ただ、レースとかでは住み分けないとお互い不幸になるというだけなのです…

 

 また、ハッピー状態が解消した結果カテゴリーを変えるとかはもちろんカテ詐欺にはあたりません。是非楽しくレースしましょう。

*1: 元々速い人が更にちょっとだけ速くなっちゃう問題の方が根深く、追及しにくいです。が、まずはこのレベルを何とか

*2:ピラミッドの段の中の分布は一様と仮定して表に合うよう調整。また、標高高い場所でのPWRなので実際より下振れている可能性が高い