Zwifterの雑感

Zwifterが海外情報中心に集めたZwift知識と適当な考察を残します。メジャーな情報は他所にまかせてニッチにマニアックに

新時代のトロン不要論

昔こんな記事を書きました。

トロンバイクは本当に最速か? - Zwifterの雑感

当時トロンバイクは、かなりの高性能オールラウンドバイクで、ダントツ総合力最強、迷ったらトロン、みんなの憧れ。みたいな感じでした。
ただ、度重なるアップデートで相対的にどんどん弱くなっていって、最終的にまあ最強格の一つだよねという評価に落ちついていたところ、2025/3のアップデートでガラッと世界が変わりました。


バイクアップグレード機能の実装及び、それに伴う全機材の性能見直しです。
その結果トロンはオールラウンドバイクから平坦特化バイクへと驚きの転換を遂げます。
が、平坦に関してはProject74というさらに尖った機材が追加。トロンは平坦結構強くてちょっとだけ登れるというポジションに落ち着きます。
このあたりの歴史的経緯は以下の記事にまとめてます。

 

Zwiftバーチャル機材史 - Zwifterの雑感

 

そして、本記事の主張はこれです。
「総合最速でも平坦最速でもないトロンに存在意義はあるのか?」

記事長くなるので、章立てしつつ要点まとめちゃうと

 

といった内容になります。
個人の見解ですが


結論:不要は言い過ぎだが、優先度はかなり低い!

 

ハイ。内容見てきましょう。

 

①トロンが最適なレースはかなり限定的

全機材LV5までアップグレード完了済みという前提でトロンがベストとなるコースや展開はどういうものか考えてみます。

 

比較対象になるのが、平坦最速の「Project74」と総合最強の「SL8/ENVE7.8」の組み合わせ。
これらは、平坦性能と登り性能がトレードオフになるような関係です。*1



平坦最速はProject74。そこからトロンにして登り性能を上げると平坦は遅くなる。SL8/ENVE7.8にするとさらに登れるがさらに平坦遅い。

 

ここで、大きなポイントになるのが、トロンが最速となる勾配は単独で存在しないという事です。


こちらがZwifterBikesでシミュレーションした各バイクで4倍巡行した際の勾配ごとの推定速度です。同じ勾配の中で一番速い機材に色をつけています。(299W/75kg/183cm/ドラフトなしの条件)*2

 

-8%~1%まではProject74が最速、2%以降はSL8/ENVE7.8が最速です。
トロン君がいません。つまり、どんな道でもトロンは最速になりません。

 

ただぁ!レースでは一定勾配を走るわけではありません。変化があります。
言い換えれば、トロンはProject74より登れて、SL8/ENVE7.8より平坦走れるのです。やや苦しいですが。

 

もう少しだけモデルを複雑にして、平坦がしばらくあって最後登りゴールというコースを妄想します。

例えばこういうコース



平坦力と登坂力の両方が問われます。平坦と登りの距離のバランスや登りの勾配、さらには予想されるレース展開次第で選ぶ機材は異なります。


Project74を選びたいケースは・平坦で激しい展開が予想される・最後の登りが緩斜面だから何とかなる。エアロ性能を活かして長く逃げたい。とかでしょうか。


SL8/ENVE7.8を選ぶケースは・平坦は緩やかに消化しそうで何とかなりそう・登りの斜度があるから軽量で行きたい・登りゴールに全力を注ぎたい。とかでしょうか。

 

じゃあトロンは?というと、平坦が大事だけどProject74を使うほどじゃない。その分登りで有利だけどSL8/ENVE7.8乗ってるヤツにはちょっと不利だよね。

みたいな感じです。んーモヤっとする!まあ中間の性能だからしょうがないんですけど!

 

実際には、トロンがはまる展開もあるんだろうと思いますがなかなか狭い範囲なのではというのが私の印象。
なにより、どの勾配でも上位互換がいるってのが選びにくくて、特にゴール前とかKOMの最重要区間で必ず機材負けしてるってのが何かなあと。まあ好みの範囲ではあるんですが。

※2025/6/27追記

アプデによりENVE7.8の上位互換となるDt Swiss65が追加。さらにトロンの利用範囲が狭まりました。


②トロンの強化ルートが効率悪い


これは割とタイトル通り。


トロンの強化にはZwift〇〇っていう名前のフレーム3種のLV5が必要です。
Zwiftシリーズには比較的LV上げやすいフレームがそろってるのですが、基本的には乗らない捨てフレームを3つ育成する必要があります。
それに対して、Project74はSpecializedのフレーム3種LV5が条件。つまり最強機材であるAethosとSL8を2種ついでで育成できます。


この差が大きくて、トロンをはじめに育てると他の育成が遅れます。

 

それでもなおトロンの育成を優先する理由として、Project74より強化が容易なトロンで平坦有利をいち早くとるという狙いがあると思います。以下その点を考えてみます。

 

まず、勾配0%での性能を平坦力と定義して、レベルによる推移を少し細かく見ました。手法は前述のZwifterBikesによります。

LV5にしたSL8/ENVE7.8の平坦力をトロンが上回るのはLV4からです。結構遠い…*3

そして、LV5のトロンの平坦力をLV3のProject74がわずかに上回ります。嘘やろ…*4


ということを踏まえると、ゼロから同時に育成を始めた場合にトロンの平坦力アドバンテージを得られる期間は実はごくわずかです。

 

トロンルート(Zwift3種→トロン)と
Project74ルート(SL8→なんか2種→Project74)
の乗った距離に対する平坦力の優劣を雑に表にしました。

縦軸一定でないので注意。〇ついてるとこが相手のルートより平坦力高いとこです。*5

 

トロンルートでアドバンテージを得られるのは7,750km~8,000kmまでの250kmの間だけです。
つまり、SL8を上回るトロンLV4育成までは手間がかかり、到達したころにはProject74のLV3がすぐ背後にいます。辛い。

※2025/6/27追記

アプデによりZIPP858/Super9の上位互換となるDt Swiss85 Discが追加。SL8/Dt 85 Discの組み合わせがほぼトロンの平坦に匹敵、Venge/Dt 85 Discはわずかにトロンの平坦を上回るとさらに辛く。正直ほぼトドメさされた感じ。

 

③トロンの価値はLV0状態の入手しやすさである

とはいえ!
トロンの一番の価値はLV0の入手の容易さです。

 

みなさまご存じのようにチャレンジで標高50,000m登れば手に入ります。
古参Zwifterは大体持ってますし、新しく始めた方もフレームの育成と並行して行えるので効率が良い。
そして何より、購入にかかるDropがゼロです。これが最高


Project74は購入に1千万、強化に1千万かかるし、SL8やらのハイエンドフレームも結構Drop持ってかれます。
アプデ前に相当Drop貯めこんでた人以外は、このアップグレードシステムでDropカツカツになってるはずです。
この節約はデカい。ここを見込んでトロンLV0で我慢する期間ってのは結構ある気もします。


まとめ

 

見てきたようにトロンは性能としてはイマイチ。少なくとも他より優先して強化する必要はないんじゃないのというのが私の意見。一通り機材そろえた人が最後に着手するくらいでいいかも。反論お待ちしております。

 

一方で、とりあえず登りまくることで、ピカピカカッコよい強いバイクが手に入る魅力は今も昔も変わらないかもしれません。
ロマンって大事だよね。

 

それでも性能に不満がある人はCannondale R4000の事も思い出してあげてください。

あれは更に中途半端な性能でトロンみたいな入手・育成の容易さもないです。
まあ見た目最高だから…


ロマンって大事だよね。

*1:表内の数値は初期装備を基準に所定のコースで稼げるタイム差。詳しくはバーチャル機材史参照

*2:299Wなのは300Wにしたかったけど謎に4W刻みでしか設定値が動かなかったため。影響はない

*3:

ZwifterBikes

*4:

ZwifterBikes

*5:単純化のため、トロンルートの前提フレームは800km3種、Project74ルートは1,600km3種とした。実際には標高での育成もある